クレセントII 2006パールレース食当日記 by 古関 幸史
プロローグ
Day1からはるか前=2006年4月ころ 小生は、午前中血圧が最高でも110以下の「虚弱体質」のため、もう二度とロングには出ないっっと決めていたが、平井さんの説得に負ける。レースの食当を仰せ付かる、たかが食当されど食当。
Day1マイナス14日 掲載品リスト化。仕事をしている振りをしてエクセルで熱中する。 小生理想のデッキ上の食事は、食いたいときに、食いたいものが、苦労なく手に入ること、である。また消化が良くて、体調を整える機能が必要。さらにつらい夜間のウオッチに心温まるものとは・・と。際限が無い。
Day1マイナス10 基本戦略。生鮮品は現地調達だが、どこまで可能なのか。現地状況を確認。買出しに車を貸してくれて、スーパーが15分くらいのところにあるとのことだが・・・地図を見る。かなり辺鄙である。車の貸し出しはほかチームとの兼ね合いか・・。前日調達可能な品は極めて限定的と見極め、長期保存可能なものはこちらで調達して、宅急便等で別送にする。初日昼は宿で握り飯を頼むが、初日夜以降は、基本的にパン中心とし、クラッカーなどの基礎食品を充実させることにする。パックライスも考慮したがお湯を沸かさなければならないので、これはオプションとする。万が一の場合は、現地で他のチームに先駆けて買い占めることも考慮し、2日前に現地入りとする。
Day1マイナス2 宇治山田到着。平井オーナー、新幹線が遅れているとのこと。外宮を参拝、小学校以来だなぁ。ついでに町でスーパーを探すが、神さびたまちに、スーパーなぞ下世話なものということか、無い! 計画大幅修正。
宿で平井さん、糸賀さん大量に飲む。小生は、途中で意識不明になったが、朝起きてみると酒の空き瓶(多数)の傍らにSnydersのパックが開いて転がっている!出発まえにスナックはいろいろ試食し、結果、Snydersのバジルトマトとガーリックバターに厳選して宅急便で送り込んだうちのひとつであった。常に状況は変化するのである(「スナック事件」)
Day1マイナス1 船底掃除でどたばた。現地昼食の手配の確認をする。一部連絡の行き違いのため、頼んだはずの昼食がキャンセルになっている(「昼食事件」)。混乱を避けるため連絡体制は一本化することは鉄則である!
車を借りてスーパーにいく。スケジュールとの関係で一時間以内に車を戻さなければならない。車で15分、とのスーパーは、25分かかった。しかし用意周到な準備活動を行ってきたので問題ないのである、えらい!手早く残りの生鮮品を買う。パン売り場をなめるように見るがナンが無い、それに商品回転率が異様にはやいのか賞味期限が全部翌日7月21日のものばかりである!(「賞味期限事件」)
唯一、「おやつに最適!スナックパン」だけが3日先の賞味期限だったのでこれを買う。このパンでカレーをだせるだろうか。
という状況であったので、オーナーにこれだけは買ってね!といわれたりんごを忘れる(りんご事件)。椿に電話すると、おまえ、京橋にそんな店はないよ、とつれない返事(つばきりんご事件)。金子に頼む。船に帰って食糧の整理。回航用の大量の酒、水、食い物がでてくる!(過剰食糧事件)。
食当の勤めとして、軽量化を図るため、必要な量を絞りにかかる。日曜日の昼までにはリタイアもするだろうから、2日持てばいいのである(文句を抑えられれば)。お湯を沸かさないと食えないのは・・・と考えながら整理しているとパックライスとカレーのパックが出てきた。「お湯沸かせる機会はそうないし、こういうのは(と平井さんの背中に向かって)、おくりかえしてもいいよね」というと「適当にやって」。おっしゃぁ、返却品側に気合鋭く放り込んだのであった。
食糧が大量にありすぎて整理場所に苦しむ。今回、ゲストクルーはもとより常連でもどこに何を入っているか分からないだろう。苦肉の策で、ハンドレール等にビニール袋にいれてスナック品は勝手に取れるようにした。なかなかいい!透明ビニール袋だともっといいなぁ・・・(自画自賛事件)。
Day1 レース当日である。生鮮品はまとめてクーラーボックスに放り込む。これが、結果的にバナナの熟成を早めてしまった。りんごは、果実一般の熟成を早めるホルモンであるエチレンガスを大量に放出しており、バナナはエチレンに敏感なので一緒にしてはいけないのである(これは農学部出身が言う本当のことである)。また、凍らせた500mlペットを25本くらいアイスボックスとギャレに分けて入れたが、ビールなど12本は常温のままだった。アイスボックスに入れるものは冷やしてから入れるのはアウトドアの鉄則だな(スポーツドリンクは全部冷やしておいた)。教訓:だが、知っていることは実行しないと意味がない(不言不実行事件)。
レースは雨の中48時間かかった・・・
バナナ 本品はカリウム含量が高い。カリウムは筋肉の痙攣を抑制する効果があり疲労回復に向いている。また消化がよく、カロリーも高いので自転車レーサーの愛好品である。りんごと一緒にしないこと(「不言不実行事件」参照)。格納に困るが、熱帯植物なので冷蔵の必要も無く、マストからぶら下げるのがいいかもなぁ。平井さんは渋い顔するでしょうが・・・
プラム こせきはすきなのだが、なぜかいつもそんなに受けない・・・高垣さんがうまそうに食っていた。高垣さん、いい人だなぁ。
りんご 搭載を忘れてはならない。
キャンディー 最初のヘルム当番が終わったところでおもむろにキャンディーを配る。やや受け。ま、これは当然の反応だろう。ちょっとインパクト無かったな。
なとりの梅すっきり キャンディーの次にウオッチでおもむろに出す。梅干の種抜き乾燥品。思ったよりすっぱくなく調味料系の味がするが、結構受ける。暑い天候であればもっとうけただろう。(かりかり梅もすきとのコメントあり)
ブドウ糖ブロック ひそかに仕掛けた今回の目玉、のはずだった。ブドウ糖は細胞のエネルギー源であるATPを再生するエネルギー代謝系の根源的要素であり、すべての摂取食物は、生体内でブドウ糖に再構成されて利用されるといっていい。ショ糖が成分である氷砂糖なんかより吸収が早く、消化される必要もないので、即効的にエネルギーになるのである。病院で打つ点滴の主要成分(本当である)。
満を持して、Day1夜、暗闇の雨で腐って無言になっているデッキ上のウオッチクルーに放った!「さーて、次はぶとう糖だよ。」とコンパニオンウエイから言う。デッキ、「不動-トウ?なにそれ?」。「輸液にも使ってるんだよ!」。「ユエキ???」。おいおいナンにもわかってねぇな、なんでもいいから疲労回復のもとだよ、早く食え、と配るが、ちょっと独特のフレーバーがあって単に強烈に甘いだけ、うーん、受けてない・・・出すタイミングが悪かった。古関はオフのボンクで隠し持ったブドウ糖ブロックを齧っていました(鳥羽Rで震えるほど寒いんだから、とはは)。(ブドウ糖事件)。
ビターチョコ 最近グリコが「ストレス社会に生きるあなたのための」、とか言って出しているもの。会社でキレまくっている若いやつに食わせてみようかと思っていた品。デッキ上でも柔らかくならないチョコを探すのはちょっと苦労である。ブドウ糖が受けなかったので、3回目のウオッチクルーに放った!菊谷クルーが「うめー」と言う。合格!
おかき 小パックに個別包装されているタイプ。結構いい値段のやつだった。寺澤さんが目を細めて食っていた。合格!
海軍カレー 雨でつらかったDay1も明けた。しかし天竜の沖くらいか。薄日が差し風もない2日目の昼、オーナーから、カレーが食いたいとのオーダー。「え?!!」「ごはんパックあったでしょ、あっためなくていいから。」「あれはぁ・・・宅急便でぇぇ・・・」「ええええおろしたぁ???なんでっぇぇ?」 「言ったでしょぅぅぅ・・・」(サトウのご飯事件)。つらいのである!「おやつに最適!スナックパン」で代用していただきました。本当はナンがいいのですがスーパー牛トラにはありませんでした。すみませnぅ。
アルファ米 Day2午後、金子クルーが、アルファ米カレーピラフを水で戻して食す。水でも1時間で食えるようになるとのこと。発見である。レースがスローな展開になり、食い物足りるの?との声も出つつある中、いざとなったらこれだなと心に決めた瞬間であった。
Snydersのスナック(ブランド名がちょっと違うかもしれない)。上記「スナック事件」の片割れ。Day2の夜中すぎ、誰かに発見されてデッキ上に登場。バジルトマト味である。アメリカ生活が長い、吉田クルーが、「おーなつかしい!」、合格! ただしビールが飲みたくなるのが欠点である。
春雨ヌードル またまた豪雨に祟られたDay2も明けた大島沖。お湯を沸かすとのオーナー発言!春雨ヌードルを作ってくれる。ツアオラータン風味だったな。これは大受け。ラーメン系より油分が少なく食べやすいかもしれない。
バナナチップ その辺のスーパーで入手可能な品の中では、100gあたり500kカロリーと抜群にエネルギー含有量が高い。百グラムもあれば丼飯大盛り位に相当する。そんなことを考えつつ買い込んでいるとき、ふと、こんなのばっかり載せると不平がでるかもなぁ、と思って一袋しか載せなかった。Day2朝、誰かが掘り出してきて「おーうまいな」。合格!
ちなみに、今回、減量指令が出た、以下ご参考まで。サラミ、裂きイカなどは総じて100gで300kカロリー。こういう系統の食い物でカロリーが低いものがチーカマである、100g換算で100kカロリーと異様に低いのであった。こりゃ、消化できない混ざり物が多いのかもね。
冷製スープ「ジャガイモ」 某有名レストランブランド品。ブドウ糖につづく目玉第2弾として炸裂するはずであった。この系統の商品ではほかにえんどう豆のスープがある。これは子供に食べさせて反応を見たところ受けがなく、本品にした。しかしブドウ糖がとんでもない不発に終わり、また、小生、体調順応に時間がかかりオフはひたすら寝ていたため出さずじまい。未決着。
後日談:後始末も終わった葉山で、山のように残った食糧をみんなに押し付ける。これも食当の、本当に、つらい、役目である!そのとき本品をお認めになった横山総監督、「これうまいんだよね」。横山大人はカップラーメン等、未決着に終わった品をぶら下げて悠然とお帰りになったのでした(未決着事件)。
チョコクッキー 回航に積んであったものだが、Day1夜、回ってきた、うまかった。ただ甘いだけのブドウ糖にはない安らぎがある。やっぱり食い物はこうあるべき、ただの燃料じゃないんだから。心温まるものとて何一つない雨の暗闇ウオッチの友、といっていいだろう。
モズクスープ いまのところなぜか関西系のスーパーでしか見かけない品。水でもOKとの能書きに惹かれて買った。試食した感じは、ただの水ではそんなにうまいって感じではなかったが。Day1握り飯のときに出すはずだったがヘルムのオフでぐったりしていたので忘れていた。すんません。
ベビースターラーメン 子供の駄菓子の定番だったが、ピーナツ入りになっておやじ系スナックに侵入しているらしい。金子クルーが、ピーナツが入っていると腹持ちがいいねとかいいながらばりばり食っていた。この金子クルーは水もどしアルファ米もうまそうに食っていたし、トイレでくそもしていたし、こいつが次期オンデッキ食当だな!(トイレパイプ事件および食当不当割り当て事件)
歌舞伎揚げ これは当初検討リストにはあったのだが、脂っこいものは暑いときはだめね!と削ったもの。ま、自分の好みだけど。来年は載せてあげよう、金子君!
魚肉ソーセージ この類のケーシングソーセージ(ビニールで密封包装されているあれ、農学系食糧化学用語)の市販品はほとんどが魚肉になってしまう。かまぼこもそうだ。畜肉はケーシング殺菌の過程で、筋肉に含まれるアクトミオシンが変色し、フレーバーが飛んでしまうからだったと思うが・・・。伊藤ハムが畜肉でケーシングタイプのソーセージをだしているがなぜか要冷蔵品で、断念。要冷蔵でもケーシング処理されていれば2〜3日は常温でも持つとおもうが、クルーの健康を考える食当としては敬遠するのが妥当。次回はトライしてみたい品・・・
水羊羹 暑かったら大受け間違いない、定番品。今回やや不発。
チーズ 一回出したが、なぜか受けなかった品。なんででしょうねぇ。もっとうまいチーズがいいですかね?
食費3700円 実際に消費された量を考えると、りんご一個700円、魚肉ソーセージ一本500円、即効元気一個1000円見当って感じかな・・・
余談
夜のウオッチの世間話で聴いた話。関東某有名艇では、オードブルの用意とまともな飯の支度が当然として要求されていたとのこと。またニュージーランド人と乗った経験談、彼はひたすらコーラのみ飲んでいたとの話。
結論
食当とは事件の連続である。
以上